WebARを導入する際に必ず確認すべきなのが、ブラウザ・OSの対応状況です。2026年現在、WebARの主要技術であるWebXR Device APIとGetUserMedia(カメラアクセス)の対応範囲は大きく広がりましたが、iOSとAndroid、ブラウザごとに挙動の差があります。本記事では最新の対応状況を一覧表で整理し、実務での注意点を解説します。
ブラウザ×OS対応表(2026年版)
| ブラウザ | iOS 17+ | iOS 16以前 | Android 13+ | Android 12以前 | Windows Chrome | macOS Safari |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Safari | ◎ | ○ | ×(非対応) | ×(非対応) | ×(非対応) | ◎ |
| Chrome | ○(iOS版は制限あり) | △ | ◎ | ○ | ◎(WebXR対応) | △(WebXR未対応) |
| Firefox | △ | × | ○ | △ | ○(WebXR実験的) | △ |
| Samsung Internet | × | × | ◎ | ◎ | × | × |
| Edge | × | × | × | × | ◎(WebXR対応) | × |
iOSのWebAR対応状況
Safari(iOS)の特徴
iOSでWebARを使う場合、実質的にSafariが唯一の選択肢です。iOSのChrome・FirefoxはAppleの制限によりWebKitエンジンを使用しており、WebXR Device APIが利用できません。iOS 17以降ではSafariがWebXRの一部(Viewer Sessionのみ)に対応しましたが、ARセッション(Hit Testなど)は2026年3月時点でも限定的です。
iOSでのARは、model-viewerが採用しているQuick Look(USDZ形式)が最も安定しています。Safari上でUSDZファイルへのリンクをタップすると、ネイティブのAR Quick Lookが起動し、スムーズなAR体験を提供できます。8th WallのようなWebARプラットフォームはWebXRを使わず独自の実装でiOS Safariに対応しています。
iOSバージョン別の対応状況
| iOSバージョン | AR Quick Look | WebXR(Safari) | カメラアクセス | シェア(2026年推定) |
|---|---|---|---|---|
| iOS 17+ | ◎ | ○(Viewerのみ) | ◎ | 約72% |
| iOS 16 | ◎ | × | ◎ | 約15% |
| iOS 15以前 | ○ | × | ○ | 約13% |
AndroidのWebAR対応状況
AndroidはiOSより自由度が高く、Chrome for AndroidがWebXR Device APIに完全対応しています。ARCore(GoogleのAR基盤)対応端末であれば、WebXRのHit Test・DOMオーバーレイ・ライティング推定などの高度な機能も利用できます。
2026年時点でARCore対応Androidデバイスは全世界で約10億台以上あり、Android 8.0以降のほとんどのミッドレンジ以上のデバイスで動作します。ただし低価格帯のAndroid端末ではARCoreが未対応のケースもあり、実務ではフォールバック設計が必要です。
Androidバージョン・ブラウザ別の対応状況
| 環境 | WebXR | カメラアクセス | ARCore |
|---|---|---|---|
| Android 13+ / Chrome 120+ | ◎ | ◎ | ◎(対応機種のみ) |
| Android 11-12 / Chrome | ◎ | ◎ | ◎(対応機種のみ) |
| Android 9-10 / Chrome | ○ | ◎ | △ |
| Android 8 / Chrome | △ | ○ | △ |
| Android / Firefox | ○(実験的フラグ必要) | ◎ | × |
カメラ権限の挙動比較
- iOS Safari:初回アクセス時に必ずカメラ許可ダイアログが表示される。許可後はそのサイトの設定が保存される。HTTPSが必須。
- Android Chrome:初回アクセス時に許可ダイアログ。「今回だけ許可」と「許可」の2択がある。「今回だけ」を選ぶと毎回表示される。
- PC Chrome:アドレスバー横のカメラアイコンをクリックして許可。プライベートモードでは毎回確認が必要。
- 共通:HTTPでは一切カメラアクセス不可。本番環境は必ずHTTPS必須。
WebXR対応状況(2026年)
WebXR Device APIはW3Cで標準化が進んでおり、2026年現在の対応状況はChrome(Android・PC)が全機能に対応、Safariが段階的に対応を拡大中、Firefoxが実験的対応の状態です。
非対応端末の割合と対策
StatCounterの2026年データによると、日本のモバイルブラウザシェアはSafari(iOS)約55%、Chrome(Android)約35%、その他10%です。WebXRフル対応のChrome/Androidは35%、AR QuickLook対応のiOS Safariは55%と、合計約90%の端末でWebARの何らかの形式が動作します。残り10%の非対応端末に対しては「ARが起動できない場合は3D表示のみ」「動画・画像へのフォールバック表示」といった代替コンテンツを用意するUX設計が重要です。
iOSではSafariのAR Quick Look(USDZファイル)が最も安定しています。model-viewerのar属性を設定すると、iOSではQuick Lookが、AndroidではScene Viewerが自動で起動するため、両OS対応の実装に最適です。8th WallはiOS Safariに独自対応しており、より高度なAR体験が必要な場合に選択肢となります。
カメラアクセスを使うWebARは必ずHTTPS(またはlocalhost)が必要です。HTTPサイトではブラウザがカメラへのアクセスを一切許可しないため、WebARは動作しません。GitHub Pages・Netlify・Vercel・Cloudflare Pagesはすべて無料でHTTPSに対応しているため、これらの利用を推奨します。
Windows/macOSのChromeはWebXRに対応しており、対応するWebカメラがあれば画像認識ARやAR.jsのマーカーARが動作します。ただし実用的なAR体験はスマートフォンの方が優れており、PCはプレビュー・テスト用途が主なユースケースです。macOS SafariはWebXR非対応のため、ARは動作しません。