WebARの作り方:基本的な流れ
WebARを作るには、大きく分けて「ツール(サービス)を使う方法」と「コードで自作する方法」の2つがあります。目的・予算・技術レベルに合わせて選びましょう。
| 方法 | 難易度 | 費用 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| ノーコードツール | ★☆☆ | 月額0〜数万円 | 簡単な3D表示・ECサイト・展示会 |
| WebAR専門サービス | ★★☆ | 制作費10万〜100万円 | ブランドキャンペーン・高品質AR |
| 自前コーディング | ★★★ | 人件費のみ | 開発者向け・高自由度が必要な場合 |
方法①:ノーコードツールで作る
プログラミング知識ゼロでもWebARが作れるサービスが増えています。代表的なツールと特徴を紹介します。
Zappar(ザッパー)
英国発のWebAR/ARプラットフォーム。マーカーAR・フェイスAR・ワールドARに対応し、ドラッグ&ドロップで直感的にコンテンツを作成できます。月額プランは$75〜(約11,000円)から。
- テンプレートが豊富
- QRコードでの配信が容易
- 分析ダッシュボード付き
8th Wall(エイスウォール)
Niantic(ポケモンGO開発元)傘下のWebARプラットフォーム。業界最高水準のトラッキング精度を誇り、大手ブランドのキャンペーンにも採用されています。価格は要問い合わせ(月額数十万円〜)。
- 平面・垂直面・顔・物体認識に対応
- Three.js・A-Frameと統合
- iOS/Android両対応
STYLY(スタイリー)
日本のPsychic VR Lab社が開発したXRプラットフォーム。WebAR・WebVRコンテンツを作成・配信でき、日本語サポートが充実しています。無料プランあり。
方法②:コードで自作する(開発者向け)
より柔軟なWebARを実装したい場合は、オープンソースのライブラリを使います。
AR.js(最もシンプル)
A-FrameやThree.jsと組み合わせて使う軽量なWebARライブラリ。マーカーARと位置情報ARに対応しています。
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<script src="https://aframe.io/releases/1.4.0/aframe.min.js"></script>
<script src="https://raw.githack.com/AR-js-org/AR.js/master/aframe/build/aframe-ar.js"></script>
</head>
<body>
<a-scene embedded arjs>
<a-marker preset="hiro">
<a-box position="0 0.5 0" material="color: #4CC3D9;"></a-box>
</a-marker>
<a-entity camera></a-entity>
</a-scene>
</body>
</html>
上記のHTMLをサーバーに置くだけで、Hiro(ひろ)マーカーの上に青い3Dボックスが表示されるWebARが完成します。
model-viewer(Googleの公式タグ)
Googleが提供する<model-viewer>はHTMLタグ一行で3Dモデル表示+ARを実現できます。ECサイトへの埋め込みに最適です。
<!-- CDNを読み込む -->
<script type="module" src="https://ajax.googleapis.com/ajax/libs/model-viewer/3.3.0/model-viewer.min.js"></script>
<!-- 3DモデルをARで表示 -->
<model-viewer
src="./model.glb"
ios-src="./model.usdz"
ar
ar-modes="webxr scene-viewer quick-look"
camera-controls
auto-rotate
alt="3Dモデル">
</model-viewer>
ar属性を付けるだけで「ARで見る」ボタンが自動追加されます。Android端末ではScene Viewer経由、iOSではARKit(Quick Look)が起動します。
WebARで使う3Dファイル形式
WebARで3Dモデルを表示するには、対応するファイル形式の理解が必要です。
GLB(glTF Binary)
Web向け3Dの標準形式。Webブラウザが直接読み込める軽量フォーマットで、Android・PCのWebARで使います。BlenderやMayaからエクスポートできます。
- ファイルサイズが小さい
- テクスチャ・アニメーションを1ファイルに格納
- Three.js・A-Frame・model-viewerが対応
USDZ
Pixar・Appleが策定した形式。iOSのARKit(Quick Look)で使います。iPhone・iPadでネイティブARを表示する際に必要です。
- iOSのSafariで直接開ける
- Reality Composerで編集可能
- macOS上でBlenderプラグインからエクスポート
マルチプラットフォーム対応にはGLBとUSDZの両方を用意するのがベストプラクティスです。
WebAR制作の具体的な手順(ノーコードの場合)
ノーコードツールを使った場合の典型的な制作フローを紹介します。
- 目的・用途を決める 商品の3D表示?マーカーAR?顔にエフェクト?
- 3Dモデルを準備する 既存モデルを購入するか、3Dスキャン・CGで制作
- ツールにアップロード GLB/USDZをツールに読み込む
- シーンを設定 スケール・位置・アニメーションを調整
- QRコード・URLを生成 配信用のリンクを取得
- テスト・公開 実機で動作確認してキャンペーン等に展開
WebAR制作にかかる費用の目安
| 制作方法 | 初期費用 | 月額費用 | 3Dモデル制作費 |
|---|---|---|---|
| ノーコードツール(自社運用) | 0円 | 1万〜5万円 | 5万〜30万円 |
| WebAR制作会社に依頼 | 15万〜100万円 | 0〜3万円 | 別途 |
| 開発者が自作 | 0円 | サーバー代のみ | 10万〜50万円 |
詳しい費用感は「AR制作費用の相場まとめ」で解説しています。
WebARをうまく作るための3つのポイント
① 3Dモデルの軽量化が最重要
WebARの最大の課題はファイルサイズです。3Dモデルが重いと読み込みに時間がかかり、ユーザーが離脱します。目安はGLBで5MB以下。ポリゴン数の削減・テクスチャ圧縮(Draco圧縮)を行いましょう。
② HTTPSが必須
カメラへのアクセスにはHTTPSが必要です。httpのサイトではWebARは動作しません。Let’s Encryptなどで無料SSL証明書を取得してください。
③ iOS/Android両対応を確認する
iOSとAndroidでARの動作方式が異なります(Quick Look vs Scene Viewer vs WebXR)。必ず両方の実機でテストし、体験に差が出ないよう調整しましょう。
よくある質問
はい、WebARはスマートフォンのブラウザ(Safari・Chrome)だけで動作します。アプリのインストールは不要です。
ノーコードツール(Zappar・STYLYなど)を使えば、プログラミング不要でWebARコンテンツを作成できます。ただし、細かいカスタマイズにはHTMLの基礎知識があると便利です。
ノーコードツールを使えば数日〜1週間程度。制作会社に依頼する場合は1〜3ヶ月が一般的です。3Dモデルの制作がボトルネックになることが多いです。