AR開発を始めようとするとき、最初の壁となるのがSDK選びです。ARKit・ARCore・Vuforia・8th Wall・AR.js・Spark ARなど、選択肢は多岐にわたります。本記事では6つの主要AR SDKを対応OS・機能・費用・難易度で徹底比較し、用途別のおすすめ選び方フローを解説します。
AR SDK 比較表(6製品)
| SDK | 対応OS | 主なトラッキング | 費用 | 難易度 | ライセンス |
|---|---|---|---|---|---|
| ARKit | iOS専用 | 平面・顔・物体・LiDAR | 無料(Apple Developer要) | 中 | Apple Developer Program |
| ARCore | Android専用 | 平面・顔・物体・Depth | 無料 | 中 | Apache 2.0 |
| Vuforia | iOS/Android | 画像・物体・マーカーレス | 無料〜年間$499+ | 中〜高 | 商用ライセンス |
| 8th Wall | iOS/Android(WebAR) | SLAM・画像・顔・World | 年間$99〜$7,200 | 低〜中 | SaaS(月額/年額) |
| AR.js | iOS/Android(WebAR) | マーカー・NFT・GPS | 無料(OSS) | 低 | MIT |
| Spark AR | iOS/Android | 顔・手・平面 | 無料 | 低〜中 | Meta Platform TOS |
ARKit vs ARCore 詳細比較
ARKit(Apple)の特徴
ARKitはAppleが2017年にリリースしたiOS向けARフレームワークです。iPhone 12以降ではLiDARセンサーを活用した高精度なデプスマッピングが可能で、現実空間の正確な3D把握に強みがあります。
- 強み:LiDAR対応・高精度・Appleエコシステムとの統合(RealityKit/Reality Composer)
- 弱み:iOS専用・Androidで使えない
- 推奨用途:iOSネイティブアプリ・高品質AR体験・家具配置AR・医療AR
ARCore(Google)の特徴
ARCoreはGoogleが提供するAndroid向けARプラットフォームです。400機種以上のAndroidデバイスに対応しており、Sceneform(非推奨化済み)の後継としてJetpack ARCoreが提供されています。
- 強み:Android幅広い対応・Depth API・GoogleMaps連携(Geospatial API)
- 弱み:iOSでも動くがARKit比で精度が劣る場合あり
- 推奨用途:Android向けネイティブAR・屋外GPS連動AR・Googleマップ活用
WebARでの選択肢:8th Wall vs AR.js
8th Wallの特徴
8th WallはNianticが買収したWebAR専門プラットフォームです。アプリ不要でスマホブラウザ上で動作するARを提供し、SLAM技術による高品質なトラッキングが特徴です。料金プランは個人向け $99/年〜エンタープライズ $7,200/年以上と幅広く、企業のプロモーションARで多数の採用実績があります。
AR.jsの特徴
AR.jsはMITライセンスの完全無料OSSです。マーカー型ARに特化しており、WebブラウザのみでARが動作します。機能はシンプルですが、PoC・教育・スモールプロジェクトには十分です。
用途別おすすめ選択フロー
- アプリ不要(WebAR)にしたい:8th Wall(予算あり)またはAR.js(無料)
- iOSネイティブアプリ:ARKit(Unity/RealityKit)
- Androidネイティブアプリ:ARCore
- iOS/Android両対応ネイティブ:Vuforia + Unity(またはARKit+ARCore個別対応)
- InstagramなどSNS ARフィルター:Spark AR(無料・Meta系SNS限定)
- 産業向け高精度AR:Vuforia(物体認識・CADデータ連携が強い)
Vuforia・Spark ARの特徴
Vuforia(PTC)
Vuforiaは産業用途に強いAR SDKです。CADモデルの3D物体認識・製造ライン向けAR手順ガイド・工場点検ARなどに採用実績があります。無料プランでも基本機能を試せますが、商用利用には年間$499〜のライセンスが必要です。
Spark AR(Meta)
Spark ARはInstagram・Facebook向けのARフィルターを作成できる無料ツールです。顔AR・手AR・平面ARに対応し、ビジュアルプログラミングで開発できます。ただしMetaプラットフォーム以外では使用できません。
よくある質問
UnityのAR FoundationパッケージはARKit(iOS)とARCore(Android)の両方を統一APIで扱えます。一度書いたコードがiOS・Android両方で動くため、クロスプラットフォーム開発に最適です。
商用利用でSLAMトラッキング(マーカーレスAR)が必要なら8th Wall、PoC・教育・マーカーARで無料が条件ならAR.jsを選んでください。品質・サポート面で8th Wallが大きく優れています。
基本的にUnity(またはUE)との組み合わせが主流ですが、Vuforia Engine SDKとしてネイティブAndroid/iOS開発にも使用できます。ただし情報量が少なくUnityとの組み合わせを強く推奨します。